くもの七限目

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【ネタバレ含む】小説『ちょっと今から仕事やめてくる。』から学ぶこと。

こんにちは、ナツネです。

今週のテーマが"読書の秋"という事で、今回は本のレビューをしたいと思います。

 

今日ご紹介する本は、

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス出版

北川恵海さん作

「ちょっと今から仕事やめてくる」

 

 

著者のデビュー作であり、2017年に福士蒼汰さん主演で映画化もされた今作。

第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞しています。

 

 

まずは著者の紹介。

著者について

今作で作家デビューを果たした著者の北川恵海さん。

大阪府吹田市出身。

この本の他にも、

話題になったヒーローズ(株)!!!、続・ヒーローズ(株)!!!や 星の降る家のローレン等といった本を書いています。

結構人気作を書いているんですね!

 

 

次に軽くあらすじを説明します。

(あらすじ知りたくない方は下へスクロールして下さいね!)

あらすじ

ブラック企業に日々こき使われ、心身共に衰弱した青山 隆。

無意識に線路に飛び込もうとしたところを、見ず知らずの「ヤマモト」と名乗る男に助けられる。

親しげに同級生と自称するヤマモトと度々話をしていくうちに、次第に心を開いていく隆。

しかし実際は、隆の同級生であるヤマモトは現在ニューヨークで仕事をしている事が判明。

「ヤマモト」は一体何者なのか。どうして自分のことをこんなにも助けてくれるのか。

そこには「ヤマモト」の悲しい過去が起因していた…。

 

構成

物語の大部分が主人公である隆の視点で進み、最終章のみヤマモトの視点に変わります。

 

9月26日(月)〜12月24日(火)までの約3ヶ月間という短い期間での設定。

あまり意識していませんでしたが、

主人公が立ち直り、前へと進んで行くまでにかかったのが僅か3ヶ月弱というのは驚きですよね!

そして見ず知らずのヤマモトとここまで親しくなるのに要したのが、僅か3ヶ月なんて。

 

同時に、最後の場面が12月24日で終わっている事も気になります。

何故、クリスマス前夜に終わらせたんだろうか。いや、クリスマスに終わらせても良いと思うのだが、何故この日なんだろう。

 

ブラック企業の過酷さ

始まりは、隆の生活スケジュール。

それを見るだけでも、大分きつい生活を送っている事、過重労働だという事が伺える内容となっています。

冒頭部分は、完全に疲弊した彼の鬱に近い心理状態が描かれています。

(基本的に最後まで、この会社がブラックすぎな事が綴られています。いや、それだけではなく上司と先輩によるパワハラも)

 

しかし、そんな彼も入社時は希望に溢れていた。

この6ヶ月程度で人はここまで疲弊してしまうのだろうか…。

ブラック企業、怖いですね。

恐怖しかない。_:(´ཀ`」 ∠):

 

土曜出勤は当たり前。日曜に死んだように眠っていると、けたたましい携帯電話の後に叩き起こされる。

今月はもう、二週間ぶっ通しで働いている。こうなってくると眠いんだか、腹が減ってくるんだか、わかりゃしない。

この半年間、体調はずっと最悪だ。

 

うん、完全にブラックですね。

もはや可哀想。だって髪を切る時間も、本を切る時間も"もったいない"んですよ。信じられません。

このままだと直ぐに身体壊してしまいそう。

 

しかし、辞めたくても辞められない現状。

入社半年で辞める人を受け入れてくれる企業はない、と隆は言う。

そして駅のホームで落ちかけた(無意識に死のうとした)所で、ヤマモトと出会います。

 

これこそが現代社会の闇ですよね。

私はお気楽思考なので、

辞めたければ辞めたっていい、仕事は後からでも探せばいい、無理する事はない、と思ってしまいますが、

現実ここまで心身共に追い詰められると、"退職"と言う選択等見えずに、限界まで頑張り最後には"死"で解決しようとしてしまいます。

 

先輩の裏切り

大型契約にもう少しで漕ぎ着ける予定だった取引先相手の発注ミス、これによって一度は明るく持ち直した隆もまた始めに逆戻り。

大損害を引き起こしてしまった自分の不甲斐なさ & 上司からのパワハラで、精神はズタボロ。

その上、発注ミスは五十嵐先輩(隆の先輩)が仕組んだものだったと判明。

信頼していた五十嵐先輩の裏切りは大変ショックで、もう死ぬしかない、と思うように。

今まであんなに(表面上は)良い先輩だったのに、酷いもんですね。

もちろん、会社において出世して生き残る為には、時には蹴落とし合いも必要になってくるとは思いますが、死ぬ一歩手前な精神状態の隆にこれは酷い。

しかもここまでされといて、まだ自分のせいだと思っている隆。

ヤマモト、早く隆を助けてあげて。

 

ヤマモトという存在

隆が落ち込む度に、飲みに誘って励ますヤマモト。

気付けば、出会いからずっと隆のことを助けています。

最終的に2度に渡って死のうとした隆に大切な人の存在を思い出させ、今の会社を退職し、新たな会社へ転職することに。

 

個人的に、

両親への電話〜ヤマモトへの「ちょっと今から仕事辞めてくる」宣言、パワハラ部長への退職宣言、部長の怒鳴り声への言い返しが気に入っています。

見ていて、とても爽快!!

また退職を決意してからの隆はとても生き生きしていて、ほんとに良かったなぁと感じます。

 

ここまで隆の為に色々としてくれるヤマモトは、過去に双子の片割れを隆と同じ境遇で失っていた。

その時の後悔からくる、今までの行動。

そして時折見せる哀しい影。

納得がいきます。

 

感想

本屋に行った時に書店員のおススメと書かれたpopが貼られていた為、軽く立ち読みをし、直ぐに購入。

今回記事を書くにあたって再読。

比較的読みやすい文章であり、同じく働くビジネスマンを描いた池井戸潤作品の様な細かい設定や実際の日本における社会情勢を反映した構成はないものの、昨今の大きな課題であるブラック企業で働く者の苦しみが分かりやすく伝わってきます。

 

途中何度も泣きそうになりました。

仕事関係で苦しむ人々にとって、ヤマモトのような存在って本当に大事ですよね。

全ての人にこんな人がいればいいですが、現実には無理です。

だからこそ、周りに苦しむ方がいたら放っておくのではなく、助けてあげてほしい。そんな人になりたい。と思います。

 

又 五十嵐先輩は、本当は良い人なのかもしれない。こんな環境でずっと働いていた結果、こんな行動を取るようになったのかもしれない、とも感じます。

だって、最後 会社を出ていく隆に声をかけて「がんばれよ」と言います。

本当に心のない人は、頑張れなんて言いません。そう考えると、五十嵐先輩もこの会社の被害者なんですね。

 

 

 

さて、長々と語ってしまいました。

文量も多くなく、読みやすいので是非色々な方に読んでいただき、何かを感じ取って頂きたいです。

 

それではまた次の記事で。

by ナツネ。